喉が痛い
飲食物や唾液を飲み込む際に痛みが起こることがありますが、その場合には咽頭や扁桃に生じた炎症が疑われます。喉は体内に存在しますが、空気や飲食物の通り道となっており、粘膜は絶えず刺激にさらされています。粘膜はこうした刺激に対して炎症反応を起こすことで身体を刺激から守っています。
喉の痛みという症状を起こす疾患には、咽頭炎、扁桃炎や重症化して生じる膿扁桃周囲膿瘍、咽頭炎、急性喉頭蓋炎などがあり、咽頭がんや喉頭がんでも喉の痛みを起こすことがあります。飲み込む際の違和感、喉の乾燥、発熱などを伴うこともあり、腫れが悪化すると呼吸困難を生じる可能性もあり、その場合には早急に適切な処置を受ける必要があります。
悪化させないためにも喉の痛みがある場合には、早めにご相談ください。
喉の違和感・異物感
喉の異物感や違和感は、主に喉頭炎、扁桃炎、咽頭炎といった喉の炎症によって生じますが、逆流性食道炎など消化器疾患でも喉の違和感や異物感を生じることがあります。また、喉頭がんや食道がんなどの初期症状として現れる場合もあります。軽い異物感や違和感でも続くようでしたら早めにご相談ください。
飲み込みづらい
飲食物は口腔から喉を通り、食道へと運ばれます。飲み込みづらいという症状は、喉から食道に生じた異常や、飲み込む際に必要な筋肉の動きなどの機能が低下している可能性があります。原因として疑われる主な疾患には、喉粘膜の炎症、嚥下障害、咽頭がんや食道がんなどがあります。
加齢によって飲み込むという嚥下機能が低下すると、飲食物を誤嚥して気管や肺に入り込み、誤嚥性肺炎を起こすことがあります。高齢者にとって誤嚥性肺炎は命を失う危険性の高い疾患であり、飲み込みにくい・食事中にむせる、食事に時間がかかるようになったなどの症状がある場合には早めにご相談ください。当院では嚥下機能の検査が可能です。
声が出ない・声がかすれる
喉には声帯という発声のための器官があります。声帯は息を吸うと開き、息を吐いて声を出す際には声帯が閉じて震えを起こし、それによって声が生じます。声帯自体や周辺の組織に腫れが生じると、声が出ない・声がかすれるなどの症状を起こします。
当院では、極細の内視鏡スコープで声帯や周辺の状態を詳細に観察して状態を正確に把握し、適切な治療につなげています。患者様に検査画像を確認いただきながら、わかりやすくご説明しますので、疑問点があれば些細な内容でも気軽にご質問ください。
なお、声が出ない、声を出しにくい、声がかすれるといった症状があり、呼吸しにくいという症状も伴う場合には速やかに受診してください。
いびき
睡眠中に空気の通り道である気道が狭窄していびきを生じます。副鼻腔炎をはじめとする気道の炎症による腫れ・分泌物増加、鼻中隔弯曲症や顎の位置など構造上の問題、肥満、アルコール摂取による筋肉の弛緩など、いびきを生じる原因は様々であり、複数の要因が関与している場合もあります。
大きないびきを繰り返す場合には、睡眠時無呼吸症候群が疑われます。睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に何度も無呼吸の状態になる疾患で、脳や身体が酸素不足になり、脳卒中や心筋梗塞などの発症リスクを増加させてしまいます。また、上質な睡眠をとれなくなることで慢性的な睡眠不足となり、日中の集中力や注意力が大幅に低下して仕事・学業・スポーツのパフォーマンスを低下させ、突然襲われる眠気によって重大な事故を起こすリスクが上昇してしまいます。いびきや睡眠時無呼吸症候群は適切な治療で改善できますので、身近な方にいびきを指摘された場合や、日中の全身倦怠感や集中力低下などでお悩みがありましたら、気軽にご相談ください。
考えられる病気
- 睡眠時無呼吸症候群 など
味がおかしい(味覚障害)
味覚障害では、味を感じにくい、いつもとは違う味に感じる、しっかり味付けしてあっても薄味に感じる、口内に何もないのに味を感じるといった症状を起こします。こうした症状にお悩みがありましたら、耳鼻咽喉科の受診をお勧めします。
味覚の仕組み
人間の舌には小さなツボミ型の味蕾という器官が多数あり、そこに味を感じる味細胞が存在しています。唾液に混じった飲食物に含まれる物質を味細胞がキャッチして、そこから得た甘味・塩味・酸味・苦味・旨味という味の刺激情報を脳へ送り、脳が味を認識します。
味覚障害は、脳が味を認識するまでの間に障害が起こって正しく機能しないことで症状を起こします。
味覚障害の分類
味覚の低下
味をはっきり感じられなくなる症状を起こします。
自発性異常味覚
口内に何もないのに、苦味や酸味などの味を感じる状態です。
味覚の消失
味覚の低下が進行し、味を全く感じなくなってしまった状態です。
異味症
本来の味とは違う味に感じる症状です。普段食べているものが別の味に感じられます。
解離性味覚障害
特定の味だけ感じにくくなる、感じられなくなる症状です。
悪味症
口の中に食べていない嫌な味が残っているように感じます。
風味障害
嗅覚障害によって、味覚の低下が起こっているように感じられます。
咳・痰
咳や痰は気管に入り込んだ異物を速やかに排出するための防御反応であり、風邪や喉の炎症、急性気管支炎などでは1~2週間に渡って咳や痰の症状が続くことがあります。咳や痰の症状がそれ以上続く場合には、咳喘息、慢性気管支炎、肺結核、喉頭アレルギー、肺がん、心不全などが疑われます。また、お薬の副作用として咳や痰が起こることもあります。
痰は気管などの粘膜を保護する分泌液であり、普段も分泌されていますが量が少なく、痰として排出されることはありません。細菌やウイルスなどが増殖すると病原体を排出させるために分泌液が増えて痰として排出されます。
痰の量や質は異物の侵入、心不全などによる体内の水分量増加によって変化しする場合があります。痰の量が増えた、粘度が高い痰が出る、痰が緑や黄色がかっている、咳が続くといった症状がある場合には、できるだけ早くご相談ください。
痰に血が混じる(血性痰)、
痰自体が血でできている
(血痰)
痰に血が混じる場合、出血が起こっている場所を特定する必要があります。鼻・喉・口内で出血を起こしている場合には耳鼻咽喉科での検査や治療が可能ですが、食道であれば消化器疾患が、肺や気管であれば呼吸器疾患が疑われます。当院では、鼻・喉・口内からの出血の有無を検査で確認しています。食道や気管・肺での出血が疑われる場合には、専門の診療を行っている連携高度医療機関をご紹介します。
考えられる病気・原因
- 肺炎
- 肺結核
- 肺がん
- 非結核性抗酸菌症
- 気管支拡張症
など